ちまたでは、ウィニーの話題が | めっけもん - ブログ -

ちまたでは、ウィニーの話題が

Winnyというオンラインでパソコン相互にファイル交換するためのソフト、ファイル共有ソフト:ウィニーの開発者、金子氏が、著作権法違反の幇助により2006年12月13日罰金有罪判決が言い渡された。

ウィニーに関する説明は、まずWikipediaのWinnyのページを読むといい。

ウィニーを介して本来ネットで公開されてはいけない機密情報を含む非公開であるべき情報が、「コンピュータウイルス」の感染によって「情報を保存しているパソコン」から垂れ流れるという現象がよくニュースで報道される。

他人ごとのような「漏えい」事故として報道されるけれど、厳密に考えるなら、それって違法行為になっているのじゃなかろうか。本来防ぎ得ることを防がずに本来してはいけないことをしたという「結果」につながっている。

したくてしたわけじゃないけれど、「結果」としてそうなってしまったという話ほど、ふんぎりの悪い話はない。

また、その責任の所在も問われ方がこれまた千差万別であるように思える一方で、ウイルスを故意にばらまいたウイルス作者が悪いのか、ウイルスに感染していたPCを使った利用者が悪いのか、情報の取り扱い管理責任が問われるべきなのか、はたまた閲覧されるべきでない情報をたまたま受け取った側が悪いのか、もっと極端に考えればそもそもネットの存在自体が違法行為を幇助していると言われかねないほど。

誰かがどこかで言っていたと思うけど、

車は便利である反面、時として人を不便な生活に陥れる凶器にもなりうる。
その可能性について言及されることは非常に普通。そうした言及を車を凶器として使いなさいと示唆しているとは普通思わない。なぜ?

ウィニーの場合は、ウィニーのユーザーが相当数いるとは言われながらも、世論として便利なツールだと認知されるほど生活に浸透しておらず、実際の利用者がさほどでもない反面、ニュースで報道される情報流出トラブルが、ウィニーとは危険なものだという印象を強めていて便利以上に危険なツールだという理解となっているからだろうか。

「有罪」という話だけで、あれこれ「想像」してしまうのは事実とかけ離れてしまうこともあるので、判決要旨をasahi.com ウィニー裁判 判決要旨で読んでみた。


  • 技術自体に有意義さを認め、技術自体の価値は中立である


  • ウィニーが著作権を侵害する態様で広く利用されている現状を十分認識しながら認容した。

  • 著作権侵害がネット上に蔓延すること自体を積極的に企図したとまでは認められない。

  • 被告のウィニーの開発、公開が、著作権制度の維持されるレベルを有した新たなビジネスモデル構築の必要性や可能性を目的としていたという側面もある。



など、必ずしも著作権侵害が匿名性の高い形でできる技術だとする技術やその技術開発者を弾圧するといった印象もなければ、金子の主張すべてを否定した判決内容ではないように思った。

ただ、ウィニーを利用した目的とその実態が著作権法侵害した状態であるものが多かったことを開発者、ソフト公開者として把握していたにもかかわらず、公開、配布を継続したという部分を見逃すわけにはいかないので、被告にとって有利・不利両方を総合的に考慮して、罰金刑ということになったらしい。

違法行為のための利用を阻止しようとする努力が公開サイトなどであったなら、こうした裁判にはならなかったのだろう、と想像する。たとえば、無償ウイルス対策ソフトをダウンロードする場合でも、最近は無償と言いながらもソフトを使うには認証コードを取得しなければいけないとか、違法行為を何らかの形で阻止すべき手段が講じられている。ユーザー同士でのやりとりが匿名であったとしても、犯罪を阻止するための措置を開発者としてとりうることは容易であったろうから、それを怠ったという意味での罰金かな。